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私たちは子どもに何ができるのか

非認知能力は、読み書き計算のように教えて身につくものではない。「環境」の産物なのだ。「やり抜く力」「好奇心」「自制心」…人生の成功を左右する力の育み方を、最新の科学的根拠(エビデンス)と先進事例から解き明かす!(著者:著者:ポール・タフ, 訳:高山 真由美)


 近年、教育分野の世界で「非認知能力」が注目されている。非認知能力とは、読み書きや学力のようなIQで測れる能力に対し、やり抜く力・好奇心・自制心のような数字で測る事のできない能力のことを指す。 そして、今や非認知能力は、人生の成功を左右する力として、IQ以上に大きな影響力を及ぼす事が最新の研究で明らかとなっている。

 では、実際に子供の非認知能力を伸ばすにはどうしたらよいだろうか。著書の中では、まず最初に働きかけるべき場所は、子供自身ではなく、環境であると紹介している。例えば、幼い時期に経験した高レベルのストレスは、前頭前皮質、つまり知的機能をつかさどる最も繊細で複雑な脳の部位の発達を阻害し、感情面や認知面での制御能力を妨げる。
 また、子供が感情面、精神面、認知面で発達するための極めて重要な環境は家であり、特に子供が動揺しているときに、親が激しい反応を示したり予測のつかない行動を取ったりすると、後々子供は強い感情をうまく処理することや、緊張度の高い状況に効果的に対応する事ができなくなる。しかし、それとは反対に、子供が瞬間的なストレスに対処するのを助け、怯えたり癇癪を起こしたりした後に落ち着きを取り戻すのを手伝い事のできる親は、その後の子供のストレス対処能力に大いにプラスの影響を与える事が明らかとなっている。

 本書では、こうした非認知能力を育む上で必要不可欠な要素を詳細なレポートを基にして、具体的な改善案や実践方法を数多く紹介している。子育てに興味のある方、非認知能力について詳しく知りたい方は、是非読んでみては如何だろうか。