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FACTFULNESS(ファクトフルネス)
ここ数十年間、わたしは何千もの人々に、貧困、人口、教育、エネルギーなど世界にまつわる数多くの質問をしてきた医学生、大学教授、科学者、企業の役員、ジャーナリスト、政治家―ほとんどみんなが間違えた。みんなが同じ勘違いをしている。本書は、事実に基づく世界の見方を教え、とんでもない勘違いを観察し、学んだことをまとめた一冊だ。(著者:ハンス・ロスリング , オーラ・ロスリング , アンナ・ロスリング・ロンランド, 訳:上杉 周作 , 関 美和)
本書タイトルのFACTFULNESS(ファクトフルネス)とは、”データや事実にもとづき、世界を読み解く習慣”を意味している。そして、まずは世界の基本的な事実を知ってもらう為、以下のようなクイズを出題しているので、その一部を紹介してみたい。
質問1 世界の人口のうち、極度の貧困にある人の割合は、過去20年でどう変わったでしょう?
A 約2倍になった B あまり変わっていない C 半分になった
質問2 世界中の1歳児の中で、なんらかの病気に対して予防接種を受けている子供はどのくらいいるでしょう?
A 20% B 50% C 80%
質問3 世界中の30歳男性は、平均10年間の学校教育を受けています。同じ年の女性は何年間学校教育を受けているでしょう?
A 9年 B 6年 C 3年
質問4 15歳未満の子供は、現在世界に約20億人います。国連の予測によると、2100年に子供の数は約何人になるでしょう?
A 40億人 B 30億人 C 20億人
では、答えを見てみよう。
質問1 C(半分になった)、質問2 C(80% )、質問3 A(9年 )
質問4 C(20億人 )
この本の著者たちは、こうした世界の情勢に基づく質問を世界の国々で行なった所、なんとその正解率は3分の1以下であったと報告している。しかも、こうしたクイズを大学教授、ジャーナリスト、ノーベル賞受賞者といった様々な分野で活躍する人々にも行なったが、いずれも大多数の者たちがほとんどの質問に間違っていたそうだ。
では、なぜ多くの者たちが間違ってしまうのか…。
その背景には、まず第一に、人々の圧倒的な知識不足や昔の知識が現在の知識にアップデートされてないといった理由が考えられるだろう。しかし、それ以上に著者たちは、人々にはドラマチックすぎる世界の見方をしてしまう傾向がある事を、その理由の大きな原因の一つとして挙げている。
このドラマチックすぎる世界の見方とは、例えば、「世界には戦争、暴力、自然災害、人災、腐敗が絶えず、どんどん物騒になっている。金持ちはより一層金持ちになり、貧乏人はより一層貧乏になり、貧困は増え続ける一方だ。何もしなければ天然資源ももうすぐ尽きてしまう…」といったネガティブな考え方だ。
しかし、この考え方は正しくない。
事実に基づく世界の見方をする限り、時を重ねるにつれ、世界は徐々に良くなっている。何もかもが毎年改善するわけではないが、人類は大いなる進歩を遂げている。
本書は、冒頭で紹介したようなデータと事実に基づく世界の見方を私たちに提供し、人々の考え方を変え、根拠のない恐怖を退治し、誰もがより生産的なことに情熱を傾けられるような構成に仕上がっている。
世界をドラマチックすぎる味方ではなく、事実に基づいた見方で思考してみたい方は、是非一読してみてはどうだろうか?