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ヤバイ経済学

アメリカに経済学ブームを巻き起こし、170万部のベストセラーとなった話題の書。若手経済学者のホープが、日常生活から裏社会まで、ユニークな分析で通念をひっくり返します。犯罪と中絶合法化論争のその後や、犬のウンコ、臓器売買、脱税など、もっとヤバい話題を追加した増補改訂版。(著者:スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー, 望月衛)

 本書は、身近にある疑問をデータ分析によって解き明かした本となる。その内容は、例えば、相撲界に八百長はあるのか、プールと銃どちらが危ないか、インチキな先生を見分ける方法はあるのか、といったものだ。

 中でも、アメリカで犯罪者が減少した大きな理由に”ロー対ウェイド裁判”を挙げている点は興味深い。ロー対ウェイド裁判とは、1973年に最高裁によって中絶する権利が初めて保障された裁判である。アメリカでは、1990年まで犯罪発生率が増加の一途を辿っていたが、90年代になると、犯罪率は低下していった。その理由は、この裁判によって望まれずに生まれた赤ん坊、つまり、親からの愛情や手厚い支援をもらいにくい子供たちは、統計的に見ると将来犯罪を起こす可能性が高くなってしまうが、中絶の合法化と保障によって、そうした子供たちが生まれる割合が減った為である。
※この意見に対しては、取締りの強化や銃の規制、麻薬市場との関連性の影響の方が大きいとの反論もある。

 日常に纏わる疑問を、経済学的視点から考察したい方にオススメです。