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里海資本論

里海=人が手を加えることで海を健康にし、豊かにするメカニズム。瀬戸内海の再生で世界から注目されている。地球の限界を救うモデルとして、瀬戸内海生まれ日本発の概念が、世界経済を今まさに変えようとしている!(著者:井上 恭介, NHK「里海」取材班)


 突然だが、「里海」という言葉を聞いた事があるだろうか。里海とは、”人手が加わることによって生物多様性と生産性が高くなった沿岸海域”という意味であり、この用語は既に学術用語として確立されている。そして、そんな”里海”にある資源を数ある有用な資源として活用していく為の考え方が”里海資本”と呼ばれるものだ。

 里海資本では、自然と対話し、適切に手を加えて、本来の命のサイクルを整え高めていく。すると自然は、その期待に応え、私たちの生活に恵みをもたらしてくれる。そこには、物理的な境界線など何もない。そんな、すべての生き物が交換してお互いを高め合い、さらには水も空気も関係して共存する関係は、すべての生命に相乗効果を発揮する。

 本書は、そんな里山資本を有効活用している様々な地域を取り上げ、その取り組みを紹介した本となる。アーバンライフに距離を置き、自然と共生する生活に興味のある方は、是非一読してみてはどうだろうか?