BUSINESS
SHOE DOG(靴にすべてを)
1962年晩秋、24歳のあるアメリカ人が日本に降り立った。彼の名はフィル・ナイト。のちに世界最強のブランドの一つとなる、ナイキの創業経営者だ。オニツカという会社がつくるシューズ「タイガー」に惚れ込んでいた彼は、神戸にあるオニツカのオフィスを訪れ、役員たちに売り込みをする。自分に、タイガーをアメリカで売らせてほしいと。スタンフォード大MBA卒のエリートでありながら、なぜあえて靴のビジネスを選んだのか?しかもかつての敵国、日本の企業と組んでまで。「日本のシューズをアメリカで売る」。人生を賭けた挑戦が、このとき始まった!
(著者:フィル・ナイト 翻訳:大田黒 奉之)
本書はナイキの創業者、フィル・ナイト氏が書き下ろした伝記本である。この本を読むまで私は、ナイキは日本に所縁のある会社なんだよなあ、ぐらいの知識しかなかったが、なあなあ程度ではなく非常に所縁のある会社である事にまず驚かされた。
ナイキの創業者、フィル・ナイト氏はオレゴン出身の陸上競技選手から会計士となり、その後ナイキの前身であるブルーリボンを本職と並行して立ち上げるが、その先の人生は波乱に満ちており、幾重にも重なる倒産危機・裁判・盟友の死など、フィクション以上の苦難が彼を待ち構える。しかし、そんな逆境を猪突猛進に駆け抜けナイキという一大ブランドを築き上げたストーリーはまさに目を見張るものがあり、”ビジネスとは、金を稼ぐことではない”という彼の格言が余計心に響く。
また、彼は私たち20代に向けてこのようなメッセージを放つ。
20代半ばの若者たちに言いたいのは、仕事や志す道を決めつけるなということだ。天職を追い求めてほしい。天職とはどういうものかわからずとも、探すのだ。天職を追い求めることによって、疲労にも耐えられ、失意をも燃料とし、これまで感じられなかった高揚感を得られる。
こうした伝記ものは読んでいるだけで非常に面白いが、そんな彼らの起業家精神から学べる事も多分にあるので非常に為になる。日本語訳も非常に素晴らしいので、是非多くの方に読んでもらいたいと思う一冊であった。