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タイムマシンのつくりかた

「時間」とは何か?「今」とは何か?なぜ物理学者たちは「それ」が可能と考えるのか。第一線の理論物理学者が、アインシュタインからホーキングまでの現代物理学理論を駆使して、ワームホールを使った「もっとも現実的な」タイムマシンの具体的なつくりかたを教えます。タイムトラベルのパラドックスも検証しつつ、現代物理学の最前線を興味深く読み込めるユニークな一冊。
(著者:ポール デイヴィス 翻訳: 林 一)


 タイムマシンと聞くと、私はすぐにシュタインズゲートを思い出してしまう…まあそんな話はさておき、本書は科学的にみてタイムマシンが本当に作れるかどうか検討した本である。もし仮に作れるとしたらどんな工程を踏まなければならないだろうか。

 まず、実際にタイムマシンを作るとなると、エキゾチック物質(負のエネルギー)の生成・衝突器で作り上げた10兆度のエネルギーをさらにプランク温度まで押し上げ一点に集中させる・差分岐器で時間差を作るなど、私たちの想像を遥かに超えた途方もない難題をいくつもクリアしなければならず、さらにタイムトラベラーが時間を遡って先祖の誰かを殺した場合、タイムトラベラー自身が存在しなくなるという”親殺しの問題”など、タイムパラドクスによって生じるいくつもの矛盾についても触れており、その矛盾を解消する為の回避策についても述べている。

 本書の非常に面白い所は、こうした非現実的に思える空想を第一線で活躍する物理学者の理論を用いて不可能を可能にしようとしている点であろう。時間の概念ついて興味のある方、将来タイムマシンの設計に携わりたい方にオススメしたい一冊である。